ハルのこと⑧
先週の月曜日から食欲が落ち、先週の水曜日から利尿剤を増やしたものの体調改善せずここ3日はほとんど食べられない状態が続きました。
残すは一旦減らしたステロイドを元の量に戻す。もうそれしか方法はないのです。
今日、診察で主治医の先生に診てもらいましたが、腸のリンパ節の腫瘍が大きくなっているようだと・・。
この状態で抗癌剤は危険とのこと。もちろん今の状態で抗癌剤は私達もまったく選択肢にありませんでした。
ステロイドを再度増やして食欲を戻さないと、本当にこのまま衰弱して・・・(TдT)
冷静な自分と感情的な自分がいます。
そろそろ覚悟を決めないとと思う反面、お別れが悲しくて辛くて涙が出てきます。
目をつぶると、ハルと13年過ごした日々が走馬灯のように頭を駆け巡り、ハルの柔らかい毛や仔猫のような鳴き声、癒されるゴロゴロ、ビー玉のようなキラキラした目が頭に思い浮かんできて胸が締め付けられます。
でも同時に、快適な部屋で美味しいごはんを食べ、寝たいときに寝て甘えたいときに甘えられたハルは、きっと幸せな一生だったに違いないと自信を持って言えるのです。
生きとし生けるもの必ず死はある。
ネコも、犬も、人間も。
私は、家族としてハルの生き様をしっかり最後まで受け止めようと思います。
仔猫時代のハル
ハルのこと⑦
あんなにぐったりして命の灯火がいまにも消えそうなハルが、ステロイドと利尿剤で元気を取り戻し、私達も元気な時とほぼ変わらない様子にもどったハルについつい病気であることを忘れるくらいでした。
調子が良かったので、主治医の先生と相談しながらステロイドの量をまずは半分に減らし、そして更に1週間後の先日日曜日には利尿剤の量も半分に減らしました。
考え方として、状態が上がっている時になるべくキープできるギリギリの量まで薬を減らしておいたほうが、状態が悪くなった時に増やせるからです。
ご飯もよく食べ、毛づくろいや爪とぎ、あくび、伸びなど、健康なときは当たり前にしていた行動が戻ってきて毛艶もよくなってきました。なによりも、ぐったりしていた時はほとんどベッドの下に引きこもっていたのに、元気な最近はみんなと一緒にリビングですごすので、ハルもやっぱりみんなと一緒にいたいんだよね・・・っと再確認しました。
元気な様子をみて、主治医の先生もとても嬉しそうでした。
ところが、利尿剤を減らした翌日の月曜日からなんとなく元気がない様子(;_;)
ご飯への食いつきも悪く、ちょっと残したりするし行動範囲もせまくなり、しまいにはまたベッドの下に引きこもり・・・・(;_;)
明らかに日曜日までの元気さがなくなりました。
なんとなく素人判断でほぼなくなっていた腹水もまた少し溜まっているような・・
先生に相談したところ、直近での変化としては利尿剤を減らしたこと。でもそんなにすぐに反応するとは思えないけど、可能性は無くはないので利尿剤の量を前に戻して元気が戻るかどうかやってみましょうということになりました。
それで変化がなければステロイドに耐性ができてしまったか、あるいはステロイドは効いているがリンパ腫の勢いのほうが勝ってしまってるか・・・・
きょうから数日利尿剤の量を戻して様子みて見ます。
またしっかり食べれるようになることを祈って・・・。
貧血度合いが悪く、抗がん剤は使えない(リスクが高すぎる)、前縦隔にあるリンパ腫の様子をCTで診るにも麻酔での撮影はこれもリスクが高い。
そうなると日々の様子をみて薬の量を調節するという、私達家族にしかできない判断で管理するしかありません。
言葉は通じなくても、ハルの目や毛並み、呼んだときの反応でなんとなく具合悪いのか元気なのか、私にはわかります。
きっとハルも伝えたいはず。
一人じゃないよ!
私達がちゃんと見守ってるから、頑張るんだよ、ハル!
またずっとリビングで過ごそうね!
ハルのこと⑥
ハルがリンパ腫の診断を受けてから2週間、食欲がもどってきてから約10日。
今日は病院でレントゲンと血液検査をしてきました。
レントゲンの所見では、右肺の胸水は不変、左肺の胸水はすこし減ってるかもと。
腹水もすこし減っているようで利尿剤は効いているとの見立てでした。
血液検査の数値は2週間前よりだいぶ良くなっているが、依然、貧血であることには変りない状態でした。
自分なりにネコに対する抗がん剤治療のことを調べました。
北大獣医学部によるまとめがとてもわかりやすく勉強になりました。
http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/VMTH/department/oncology/info/info1.html
まとめるとこんな感じかと思います。
・ペットのリンパ腫への抗癌剤治療は、その目的が「根治」ではなく「寛解」である。
・一般的に人への抗がん剤治療のような強い副作用は出ないことが多い。
・あくまでもQOLを上げることが目的である。
また抗がん剤のメカニズムとして
・抗がん剤は腫瘍だけに効くというわけではなく、腫瘍を含めた分裂をする細胞をみつけてその細胞を叩く。
・健康な状態でも細胞分裂をしているのは、骨髄細胞、腸の粘膜細胞、毛根の細胞が代表的
・骨髄細胞がダメージを受ける→骨髄抑制(免疫が下がり感染しやすくなる)
・腸の粘膜がダメージを受ける→消化器毒性(吐き気や食欲不振)
・毛根の細胞がダメージを受ける→脱毛
副作用も怖いけど、あくまでもQOLを上げるのが最重要とされるのが動物への抗がん剤治療なのであれば、ハル本人の苦痛緩和のためには抗癌剤治療もいい選択なのではないかと思うようになってきました。
ところが、血液検査の結果をみながら、今後の治療方針について主治医の先生とお話ししたところ、おそらくリンパ腫が原因と思われる貧血がまだまだ強く、この状態で抗がん剤を打つと、骨髄抑制でさらに貧血が悪化し命取りになる危険性がある。
現状はステロイドが効いていて、残された日々のQOLを上げるという目標は達成されているので、リスクの多い抗がん剤治療をするよりこのままステロイドで様子見たほうがいいとのこと。
だだ、ステロイドも耐性がでてくるので(個体差あり)、いつか効かなくなってまた症状が悪化すると思われる。その時がハルの寿命と思ってもらったほうがいいと・・・。
いろいろな考え方があるのだとおもいますが、主治医の先生の考え方はとても論理できだし、ハルや私達の気持ちも汲んだうえでそのように話していただき、とても納得できました。
先生の今日のお話で印象的だったのは「状態悪化し、食べれなくなっても強制給餌や胃瘻(お腹に穴を開けて直接栄養を流し込む)をしてまで生かすのは、どうでしょう・・・。それはハルちゃんにとって延命措置と呼ぶのかもしれない。食べれなくなったときが、その時だと思います。いまはまだハルちゃんは「食べたい!生きたい!もっとみんなといたい!」と思っている。その気持を叶えてあげるのが今やっている治療で、決して延命措置ではないです。」
胸水のせいで呼吸が浅く、苦しい顔をすることもしばしばのハル。
でもご飯もよく食べ、毛づくろいや爪とぎなど、普段の行動もするようになりました。
このままステロイドと利尿剤がずっと効いてくれればいいのに・・・。
そして、気づいたら腫瘍が無くなってたらいいのに・・・・って、それはないけど・・・。(TдT)
効かなくなってきたら・・・と思うと覚悟がいります。
だから今できることをハルにしてあげたい。
おいしいご飯をいっぱい食べて、一緒に寝よう。
窓の近くでひなたぼっこしよう。
(=^・^=)
ハルのこと⑤ 食欲がもどってきました
縦隔型リンパ腫と腸管型リンパ腫の診断を受けてから約10日
利尿剤とステロイドの内服のお陰で、やっと食欲が戻ってきました。
たべるようになってからはみるみる目に生気が戻ってきて、ふらふらだった足元も徐々にしっかりしてきてきました。
本当に具合悪いときは、ベッドの下にこもりっきりでまったく出てこず、薬やご飯を上げるために引きずり出してくる状態。どんどん弱ってこのまま衰弱して死んでしまうのではないかと恐怖と悲しさで苦しくなっていました。
食べれるようになってから、すこしずつ普段の仕草がもどってきました。
毛づくろいをしたり、ゴロゴロいったり、スリってしてきてくれたり。
そんな、いままでだったらとくに気にもしてないような仕草でも、見た時にはとても安心します。
食欲がなかったとき、とにかくなんでも少しでも興味を示すものを食べさせようとおもって、人間のカニカマや牛乳や卵黄、高栄養のウェットフードなど手当たり次第試しました。
温めたり、砕いたり、練ったり、混ぜたり・・・・。
冷蔵庫の中は、トライしたけど食べなかった食べ残しがたくさんたまってしまいました・・。
でも少しずつ食べるようになり、それが嬉しくてどんどんあげてたら、今度は下痢をしてしまい、30分ごとにトイレにいく状態が続いたので心配になり先生に電話。
急に食べ過ぎて胃腸がついていかなくて下痢してるか、あるいはガンが悪さをして病的な下痢なのか・・・区別をつけるために1食抜いて見てくださいとのこと。
それからは下痢が止まったので、こんどは少量からご飯の量を増やしていくことにしました。
良かった・・・・。
先生はよくネコへの対処法を説明してくれる時に、人に例えて説明してくれます。
「子供がお腹こわして下痢してるときに、欲しがるからってアイスクリームとかあげないですよね?それと同じです」
「しぶり腹はよくない症状です。人間でも、もう出ないのになんとなく排便感があってなんどもトイレにいく、でも出ないってありますよね?そういう状態だったらすぐ受診してください」
なるほど〜〜わかりやすい。
人間だったら判断つくようなことも、ネコのことだと頭が真っ白になってどうしたらいいのかわからなくなってしまうワタクシ・・・。
欲しがるとつい嬉しくてフードをあげてしまった私のせいで、ごめんね、ハル。
今は、タンパク質が豊富だけど消化に良い鶏のササミを崩したものと高栄養のヒルズのa/d缶を味付け程度に混ぜてあげてます。
利尿剤を飲んでるのにあまり水を飲まないので、ご飯にお水を足しています。
今朝からは元気だったときに食べていたロイカナのphコントロールのウェットフードもすこし混ぜてあげました。
ぺろりとたべ、まだ足りなそうな顔をしていますが、また同じ二の舞いをしたくないので、少しずつ食べさせることにします。
そういえば、a/d缶の公式ウェブページに
「免疫力の維持に役立つアルギニンとオメガ-3脂肪酸を強化します。」
と書いてあった。やっぱりそうだ!ω3系脂肪酸は大事ね!
いままでは、ヒョイと登っていたカウンターの上にも、登ることができず、ベッドにも登ることは一苦労。そのたびに胸水のせいで息が切れて苦しそう・・・・。
ということで、ベッドのフレームを外しマットレスを直置きしてバリアフリーにしました。ハルもらくらく登ってくることができるので、夜はほどんど一緒に寝ています。
食欲がもどってきたのはいいのですが、腹水は素人判断では増えている感じ・・。胸水も減ってないのか相変わらず呼吸は浅く速いです。
ハルの可愛い普段の仕草をみてほっこりすると同時に、腫瘍が消えるわけでもないからいつかはみられなくなるかと思うと、恐怖と悲しさと焦りが入り混じります。
亜麻仁油について
用事があって、いままでのかかりつけ医に電話をしたら、お世話になっている動物看護師さんが電話口にでてくれました。
ハルのこと④ 3回目の受診
ずっと食欲がなく、元気なときなら飛び上がって喜びそうなものを目の前に持ってきても反応せず、一日中ぐったりと横になっていた今週前半。
処方された利尿剤とステロイドが効いてきたのか徐々に食べ物に反応してきました。
ネットでヒルズのa/d缶という衰弱した犬猫用の、高カロリー高脂肪高嗜好性の缶詰があることを知り、すがる思いで近所のペット用品店で購入しました。
恐る恐るハルにあげてみると、いままとは明らかに反応がちがって、匂いをかぎ、下をぺろりとし、自分で食べ始めました。
その時のなんと嬉しかったことか!
もちろん量は少なく、少ししか食べれませんでしたが、それでも飛び上がるほど嬉しかったです。
先生に「とにかく、なんでもいいから食べさせて!」と言われているので、健康な時には滅多にあげなかった人間の食べるもの(シーチキンとかカニカマとか)や、各種「贅沢系レトルトフード」、「外はカリカリ中はとろ〜り」のシーバ、特濃牛乳、鶏のササミなど、手当たり次第食べさせてみました。
だんだん、ハルの食べれるものがわかってきて、そのうち、ハルの目つきもしっかりしてきて、シーバの袋のカサカサという音にも反応し、欲しがってくるようになりました。
「自分の口から食べ物を食べる」という、当たり前のことができなかったいままで。
それができるだけで、こうも顔つきが変わるのか!というくらい、目には少しずつ輝きが戻ってきました。
ここ数週間聞いていなかったハルの仔猫のような可愛い鳴き声を聞けました。
毛づくろいをしている姿を見ました。
ゴロゴロと甘える顔をみました。
こんな、元気だった時には当たり前でなにも思わなかった仕草一つ一つに、今は愛しさが募ります。
素人判断では腹水も更に減ったように感じたし、呼吸も楽そうに思えました。
なので状態改善してるだろうという期待で今朝3回目の受診。
「レントゲンの結果、腹水はあまり変化なし、胸水はむしろ増えているかもしれない。胸水を抜く処置をしてもいいけど、ストレスでせっかく出てきた食欲がまた減退するかもしれない」
ということで、なるべくハルの負担が少ないことを考えて、利尿剤の内服を増やすことにしました。
そして引き続きなるべく食べさせて、とのこと。
ハルは具合が悪くなってから、たいていの時間をベッドの下で過ごしています。
なのでハルの姿はベッドの下を覗かないとわからないのですが、そこが落ち着くのであれば、そうさせてやりたいと思い、今日は夫と二人でベッドをずらしで寝室の大掃除をしました。(引っ越しした以来のホコリがたまっていて・・・(*_*; )
ちょっとしたことで落ち込んで
ちょっとしたことで希望をもって
ちょっとしたことで感謝と感動をして
ハルとの時間を過ごしています。
「こんなに辛いなら死んだほうがいい」とか「そんなに辛い思いをしてまで生きたくない」とか人間は思います。
でもこれって人間特有の高次元の感情なんですよね。
動物はきっともっとシンプルで、命ある限り死にたいとも思わないしもっと生きたいとも思わない。とにかく生をまっとうする。
なので、生死にたいして迷いはないのかもしれません。
だから、愛するペットの死に際して右往左往しているのは人間の勝手でむしろそれに付き合ってくれてるのかな?なんて考えたりします。
それでも、きっと私はハルの少しの変化に一喜一憂しながら毎日を過ごすと思います。
寝室のベッドの下にいるハルの黒く柔らかい毛に、夕陽が差し込みキラキラしています。いつもよりちょっと速い呼吸の上下に、まだもう少し一緒にいられる希望を見つけたい。
次の受診は一週間後です。
ハル&ハル 2012年8月4日
ハルのこと③
2015/8/11(火)
2回目の受診にて、利尿剤が効いたのか、腹水は300ccも減っていました。
先生の印象では顔つきもすこし良くなってると。
横からとったレントゲンを見ると一目瞭然です。
向かって左が11日 右が9日
ただ、胸水はあまり変わってなさそうと。
期待した、ステロイドでの食欲増進はほとんどなく、やはり殆ど食べない日々が続いています。
人間用でもなんでも、とにかくすこしでも食べられるものは食べさせてカロリーを取ってくださいとのことで、いろいろ試すも、ちょっと食べてすぐ「いらない」ってなり・・・。
最終手段の、強制給餌。
これは、自分の口から食べれなくなった場合、シリンジにペースト状のご飯を入れて、無理やり口に入れて食べさせる方法です。
先生は、強制給餌をやってもいいレベル、ただ、嫌がる子に無理やり食べさせるのは飼い主さんも相当心が痛むと思うので、それをするかどうかはネコちゃんとの間で決めたほうがいい・・・というようなことをおっしゃっていました。
主治医の先生は、ネコを診るだけではなくちゃんと飼い主の精神的負担も考えて物事を提案してくれます。
「強制給餌しないと、死にますよ!それでもいいんですか!?」なんて絶対に言いません。
薬を飲むのもすごく嫌がるハル。
強制給餌なんてきっともっと嫌に違いない。
「心の底からいらない!」って言ってるのにむりやり口をこじ開けてドロドロした処方食を流しこむ・・・・。そんなことできない!(TдT)
たとえそれで少し長く生きられたとしても、それって意味あるのだろうか?
だから、たぶん、
自分の口で食べられなくなったときが、ハルの寿命なんです。
数日前に診断を聞いたときに、悩む私達に先生が言った言葉
「よく、治療を続けるのは人間のエゴだとか、ペットは何をして欲しいんだろうって悩むご家族が多いのですが、僕は、家族の方が選んだ方法が、その子にとってもベストな選択だとおもうんです。」と。
それを聞いて、悩みながらも選んだ方法が、ハルにとってもいい方法なんだと思えるようになりました。
そう、ハルと私は見えない心で繋がってるから。
2014年11月 by Kyue Photo Works