ハルのこと(最終) 小さないのちの贈り物
27年9月27日(日)正午
13歳1ヶ月でハルは天国へと旅立ちました。
ハルとの出会いは私が上京して2年目、仕事で一番キツイ時期でした。
ネコは飼ったことがなく、本を見たりしながら育てましたが、丈夫なハルは問題行動もなく、なんでも食べ、すくすくと育ちました。
まるでワンコのように人懐っこく、お客さんが来ても隠れることもなく愛想よくふるまいました。
だから、誰からも可愛い!と言われました。
やがて、2年おきに、カイくん、ナナ、おんちゃんと、新入り家族が増えましたが、とってもお世話が上手でみんな、ハルのことが大好きでした。
私もハルがいたから乗り越えられたたくさんのことがあります。
仕事でボロボロの時も、彼氏にふられたときも、ハルはなにも言わないけど常に寄り添ってくれました。
階段を上がってくる音でわかるのか、玄関を開けるとハルがお出迎えしてくれました。
夜はいつも一緒に眠りました。ハルのゴロゴロが何よりの睡眠薬でした。
いまは、玄関を開けてもハルの姿はない。
ベッドでゴロゴロの音も聞けない。
仔猫みたいな可愛い鳴き声も聞こえない。
柔らかくツヤのあるフカフカの毛を撫でることもできない。
ハル
ハルの全てが好きだったよ。
私がこんなに幸せだったから、ハルもきっと幸せだったよね?
最後は病院からの車のなかだったけど、でも私がずっと撫でていたし名前を呼んでいたから心細くなかったでしょ?
いまはもう息苦しくないよね?
病気は全て治ったよ。お薬も飲まなくていいし、好きなものなんでも食べていいよ。
そして夜は一緒に眠ろうね。
ハルは最後まで、私達家族を十分に幸せにしてくれました。
でも、ハルは更に私達に素敵な贈り物をくれたのです。
それがわかったのは、ハルの病気が発覚し、
これから残された日々の緩和ケア闘病を始めるという8月中旬でした。
なんと、私のお腹に小さないのちが宿っていることがわかったのです!
子供は希望していましたが、ハルのことで頭がいっぱいで自分のことは二の次になっていました。
ハルが、自分がいなくなったあと私が寂しがらないようにと残してくれた命のバトン。
超音波に写った赤ちゃんの心臓は、小さいけどしっかりと動いていました。
手がかからず育てやすく、人懐っこくお世話上手、病院も嫌がらずお薬もちゃんと飲んで、精一杯病気と闘って生をまっとうしました。
最後の日も日曜日を選び、翌日の火葬も私は休日。爽やかな秋晴れの日。
そして残してくれたかけがえのない新しいいのち。
これ以上の親孝行があるでしょうか。
立派に生きたハルに、感謝だけではなく尊敬の心さえ湧き上がってきます。
ハルの想いを受け継いで、命のバトンをしっかりと握りしめます。
だから、ハルの魂は私の中でこれからも生き続けるのです。
そして7ヶ月後にはこの世に生まれ、私達家族の太陽に、またなってくれるでしょう。
本当にありがとう。
ハル、ずっとずっと大好きだよ。
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